研究概要 |
長瀞成岩類の変形構造,とくに小構造及び微構造の時間系列を明らかにすることができた. 長瀞変形岩類に見られる変形小構造及び微構造を,野外及び光学顕微鏡下で観察した結果,次のような5つの変形時期が識別された. D_1:小構造としては鉱物線構造・intrafolial fold(rootless fold・closed foldを含む).微構造としては,intrafolial fold・ptygmatic fold・hericitic textureなど. D_2:小構造としては軸面へき開・縮緬皺へき開・boudinage〜膨縮構造・横臥褶曲,微構造としては,縮緬皺へき開・微褶曲・boudinageなど. D_3:小構造としては正立褶曲・傾斜褶曲・キンク褶曲,微構造としてはopen fold・chevron fold・キンク褶曲・reverse typeのキンクバンド(このキンクバンどはD_4期のものかもしれない)など. D_4:小構造のみで,reverse typeのキンクバンド. D_5:小構造としてはnormal typeのキンクバンド・ductile fault・雁行脈,微構造としてはductile faultなど. 以上のような変形の時間系列は,「変形相」が時と共に後退して行ったことを示している.このことはまた,温度または封圧の低下,あるいは変形速度の増大,さらにはこれらの複合的効果を意味するものである.変形様式もまた時と共に,layerーparallel simple shearからlayerーparallel〜layerーoblique shear・contraction・extensionなどへと次第に複雑化して行ったことが推察される.
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