研究概要 |
平成2・3年度の調査・研究を通じて,以下の成果を得た. 1).北海道紋別市西方に分布する日高累層群中のルロチ層は,全体的に北北西ー南南東方向の走向を示し,高角度で傾斜している。地層のフェ-シングは,西向きが卓越するが,しばしば東側に倒れた同斜褶曲によって地層が繰り返す.同層は,主に砂岩頁岩互層から構成され,かなりの量の頁岩を含む.調査域の西部には,厚さ200m程度の緑色岩が分布する.緑色岩は,背斜構造により2度繰り返して分布する。緑色岩は,粗粒玄武岩,塊状玄武岩,枕状玄武岩,ハイアロクラスタイトより構成される。玄武岩と泥質岩との次の関係から,この地層に分布する玄武岩は,陸源細粒砕屑物が堆積する環境において噴出・貫入したと推定される:i)急冷周縁相をもった玄武岩と黒色頁岩とが接っしている.この黒色頁岩は,玄武岩との接触部が熱的影響をうけていることがある.ii)玄武岩中に黒色頁岩のゼノリスが認められる. 2)本テ-マをさらに広域的に発展させるために,四国の四万十累層群牟岐累層と九州の四万十累層群槙峰層の調査を行った.両層は共にかなりの緑色岩を含むが,層状チャ-トをほとんど伴わない。緑色岩と泥質岩の関係を検討したところ,ルロチ層と同様の産状が確認され,両層に含まれる緑色岩類を陸源砕屑物の堆積場で噴出・貫入したことが確認された. 3)これら陸源砕屑物堆積場で定置した緑色岩は,海溝域における海嶺の火成活動に由来すると考えられる.これらの緑色岩類は,海嶺の海溝域への衝突と関連して形成された可能性が高い.
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