研究概要 |
1)本研究に間接的に関係あるものとして,東北日本外帯のジュラ紀後期裏析(ししおり)層群植物群の記載を2編にわけて行い,あわせて東北日本外帯の後期ジュラ紀〜前後白亜紀植物群の特性および全世界の同時期植物群との間の比較・検討を行った。 2)日本の三畳紀〜ジュラ紀植物群について,それらの層位学的,古地理学的変遷の過程を總括し,日本およびその近隣地域の地質構造発達史に対して古植物学的資料を提供した。 3)北海道に分布する上部白亜系上部蝦夷層群のアンモナイトノジュル中の植物化石を清極的に採集した。この採集にあたっては,現地採集家および博物館職員6名の協力があった。 a)採集した標本は,すべて鉱化化石で,内部の細胞組織がよく保存されている。これらは方位を定めて切断,切断面を研磨し,ピ-ル法により,組織プレパラ-トを作製した。b)これらのうち識別できた分類群はつぎのとおりである。 ベネチテス目の葉(2種で,いずれも新種,かつ絶滅寸前の分類群である),雌性花(1種),茎(2種,シカデオイデアを含む),すぶ科植物の枝條および雌性球集(2種,いずれも新種),なんようすぶ科植物の枝條および雌性球集(2種),やし科植物の集実(1種),双子葉植物の集実(2種)。C)以上のうち,上記ベネチテス目に属する植物器官については,すでに記載を完了し,1991年中に印刷・公表する予定である。シカデオイデアを除々,これらベネチテス葉はいずれも小型のもので,表皮細胞に乳状突起や毛を欠くが,気孔は沈み,かつ気孔は表皮細胞から由来した破膜で扱われている。このことから,これら植物は,年間をとおして一定期間の乾季があり,かつ海洋性気候下で成育したものと考えられる.
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