研究概要 |
この研究で、化学組成を検討したマンガンを主成分とする準輝石は、パイロクスマンガン石、ばら輝石、バスタム石、南部石、マ-スタ-石、イネス石、である。また、これらと共生する単斜輝石についても、化学組成を検討した。パイロクスマンガン石は、CaSiO_3モルが10%以下で安定であり、生成温度が高いところでは、CaSiO_3モルが少ないもののみが安定である。FeSiO_3モリは変化幅が大きく、検討したものの中では、最高32%に達した。ばら輝石は広い温度範囲で安定であり、ほとんどはCaSiO_3モルが10〜20%、(Fe,Mg)SiO_3モルが30%以下の領域に存在する。ところが低温生成のばら輝石では、CaSiO_3モルが3%に達するものが存在し、このタイプのばら輝石は必ず理想組成に近いヨハンセン輝石と共生している。バスタム石は、広い組成領域を持ち、CaSiO_3モルが30〜55%、(Fe,Mg)SiO_3モルが20%以下に存在する。ただし、CaSiO_3モルが45〜50%の帯状には存在しないことがある。この帯状領域は単斜輝石の組成にあたる。高温生成では、(Fe,Mg)SiO_3モルが約20%以下のマンガンに富む部分の単斜輝石領域は、バスタム石が安定である。温度が低下するに従い、CaMnSi_2O_6付近の単斜輝石が安定に現われ、Ca(Fe,Mg)Si_2O_6に向かって完全に領域が連続するようになる。即ち、低温生成の場では、バスタム石の領域は狭くなるが、単斜輝石帯状領域を少しでも外れたところでは、バスタム石が現われる。南部石ーソ-ダ南部石ーマ-スタ-石の間では、組成の連続性が示唆される。しかし、検討できるサンプルが少ないので、生成条件との関連は今後の課題である。イネス石は、CaーMn置換以外では組成の変化は極めて乏しい。
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