研究課題/領域番号 |
02650001
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 剛 東北大学, 工学部, 教授 (00005240)
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研究分担者 |
宮嵜 博司 東北大学, 工学部, 助手 (00134007)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 光電子分光 / トリオン状態 / 準結晶 / 光学的特性 |
研究概要 |
軟X線領域に於ける共鳴光電子分光では、放出された光電子のエネルギ-・スペクトルは、入射X線のエネルギ-に依存して、中間状態から終状態への電子遷移の特徴を反映している。例えばイオン結晶の内殻電子を中間状態として内殻励起子状態へ励起したとき、終状態への遷移が励起子の非放射形崩壊の場合と、価電子の内殻への非放射形遷移に伴うオ-ジェ電子放出の場合が起きる。本研究は、後者の場合の終状態が伝導帯の1電子と価電子帯の2正孔によって特徴づけられることに着目した固体内三体問題に関する一連の研究の総括であり、今回は、特にイオン結晶の伝導帯、価電子帯の波動関数の空間的な広がりを考慮した三体散乱問題の詳細な計算を行なったものである。その結果、オ-ジェ遷移の結果生じる価電子帯の2正孔が、実空間ではX線で共鳴的に励起された陽イオンの両側の陰イオン・サイトに高い確率で局在していることが明らかになった。これはX線励起に伴って生じた遍歴型の3体状態が空間的に結晶の周期性を乱した局在した束縛状態を作ることを意味する。 一方、宮嵜は周期性の乱れた一次元準結晶による光散乱スペクトルの解析を理論的に行なった。この問題は一次元Fibonacci超格子、半導体超格子などの多段周期構造をもった系と密接な関係をもっており、その構造因子が自己相似性を示すことで特徴づけられている。本研究では、特にinflation ruleに従って配列された一次元準周期超格子の構造因子を求め、実空間での規則性が波数空間のスペクトルにどのように反映されているかを調べた。その結果、構造因子のピ-クが多フラクタル構造を示すことを明らかにし、さらに、自己相似性を表わすパラメ-タを導入することによってこれらのピ-クに対する新しい指数付けが可能になることを示した。
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