研究概要 |
大型光学部品の形状測定は,入手し得る最も平面に近い面(参照面)との相対的な間隔を光干渉法等により測定し,参照面が完全な平面であると仮定して,測定対象物の形状が測定される。そのため,より平面に近い高精度な大型光学部品等を測定しようとすると,参照面が持つ粗さやうねり形状,さらには測定室内の微少な振動や空気の擾乱が,測定結果に大きく影響し始める。 本研究では,参照面がうねりや粗さを持つことを前提にしながら,また測定環境には不規則振動があり,干渉装置が上下に振動することを前提にしながら,うねりや粗さを持つ参照面を用いた光干渉法を用いて,超精密加工面の形状測定を高精度に行なう方法について研究した。当初は上下振動の影響を受けない粗さ形状測定法についての開発(光スキッド法と命名した)を行い,次にこの方法による粗さ形状の測定結果を,ディジタル信号処理法で加工することによって,断面形状に回復するための研究を行なった。また,被測定面に反射率の変動がある場合に大きく現われる測定誤差を補正するための方法も研究開発した。当方法を用いて大型光学部品のうねり形状を実際に行なう場合は,低速度,低振動で長い距離を移動できるテーブル等の開発も必要となる。そこで移動距離120mm,移動速度20μm/sで測定対象物を移動させながら連続した光干渉測定が可能なテーブルや,低ドリフトの光センサ信号増幅器の開発も行なっている。最終的に残された問題は参照面の曲率半径(参照面が持つ全体形状を表わす曲率)の評価である。この評価法の開発は簡単ではないだろうが,これ以外の参照面が持つ多くの形状パラメータの影響を,本研究で開発した方法を用いると除去できる。
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