研究概要 |
申請者は、平成2年度では、き裂逆問題の体積力法と人工知能の援用による新解析法を提案した。本年度では補助金によりSPARC Station SLCを購入し、それをもちいて、周辺のひずみ信号からき裂の位置・形状を同定するための数商的検討を行い、以下のような各問題解決の段階を経て,しだいに実用可能な状態に近づけて開発を進めて来た。 (1)無限板中に存在する内部き裂の位置、寸法および外部荷重を、き裂を囲む閉曲線上の数点で測定したひずみ情報に基づいて同定する解析を行った。 (2)実際上疲労き裂等は主に表面から生じる.このことを考慮して、半無限板の表面き裂と円孔の縁き裂の問題を取り上げ、測定した周囲のひずみ分布に関する多点のデ-タに基づいて、円孔縁き裂の位置を求める解析を行った。 (3)実構造物中に生じたき裂の形状は三次元的である場合がほとんどであるため,本手法を実用化させるために,三次元問題の検討を行う,具体的には (a)周辺のひずみ信号より半無限体の内部または表面き裂の位置・形状を同定するための数値的検討を行った. (b)周辺のひずみ信号より板の内部または表面き裂の位置・形状を同定するための数値的検討を行った. 検討の結果、同定される未知数の数が多くあり、すべて任意であるにもかかわらず、体積力法と人工知能の援用によって、精度よく、かつ少ない計算時間で同定できることが明かになった。
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