研究概要 |
キャビテーション現象を液体破壊現象として位置づけ,サブキャビテーションSub・CからスーパキャビテーションS・Cまでの広領域に着目し,初生とS・Cを固体破壊過程の降伏点付近と破断に対応させることにした。そして,両破壊過程は超高速でミクロな現象であるため,両破壊過程で発生するアコースティック・エミッションAEを受信することによって両者間の比較検討を行った。キャビテーションとしては,フェンスを通り過ぎる流れのもので,固体破壊は軟鋼の引張破壊を対象とした。以下に結果を示す。 1.AE数N,その振幅分布および波形により検討した結果,液体破壊過程と固体破壊過程においては類似性がある。すなわち,Nとキャビテーション係数σおよびNと応力σ'曲線より,前者では初生直後とSub.CからS・Cへの移行時に,また,後者では弾性領域を越えて降伏点直後と破断直前で明りょうなピークを形成し,双峰型である。 2.高σ,低σ'の第1ピークにおいてはAEパルスの振幅の増大を認める。そして,ここでは突発型AEパルスが連続的に発生し,固体破壊時の連続型パルスに類似したものと言える。しかし,低σ,高σ'の第2ピーク時においては,両破壊とも突発型(ある意見では散発型)パルスが主となる。このことも両破壊の類似性を示すデータとなろう。 3.AEパルス分布の傾きmを求めると,第1,第2ピーク付近ではm≒2と正規分布を呈するか,その他の領域ではm>2となり確率分布が異なる。この傾向も両者間の類似性を示すものとなっている。
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