研究概要 |
伝熱促進管を内管とする水平二重管型凝縮器が環状部で非共沸混合冷媒R114/R113(沸点差43.8K)の凝縮実験を行い,内管外面に設けられた乱流プロモ-タが混合気の物質伝達特性に及ぼす影響を実験的・理論的に検討した.実験は,凝縮器入口におけるR114の質量分率を0,0.23および0.36の3種類に変化させ,供試流体の質量速度を80〜270kg/m^2の範囲で変化させて行った.さらに管軸に直交する断面内における蒸気温度の分布を微細熱電対をトラバ-スさせて測定し,気相内温度分布に及ぼす冷媒質量速度,熱流束等の影響を検討した.ついで,混合気の物質伝達の整理式を提案した.得られた結果は 1.管軸に直交する断面内における混合気の温度分布は,蒸気速度が大きいほど平担になる.混合気のバルク温度の測定値は,蒸気レイノルズ数Re>2*10^4の領域では断面内で相平衡を仮定して得られる平衡温度にほぼ等しく,Re>2*10^4の領域ではReの減少につれて平衡温度より低下する.本結果より,凝縮器の設計に際して管断面内で気液平衡の成立を仮定することが妥当な範囲が明かになった. 2.吸い込みを伴う単相管内乱流場における熱・物質伝達の理論解析結果をもとに物質伝達の近似式を導いた.ついで,この式を混合冷媒の凝縮の場合に拡張して,混合気の物質伝達に関する本実験結果と良好な一致が得られた.本結果は管内凝縮器の設計に対して十分な精度で拡張することが可能である. 3.現在,外管内壁に乱流プロモ-タを有する二重管型凝縮器を製作し,混合気の物質伝達に及ぼすプロモ-タの影響を検討中.
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