研究概要 |
本研究は平行二輪車の上部に2腕と視覚センサを取り付け,環境や作業対象物を認識しながら作業を行うとともに,二輪車に操舵機能をもたせたものを基本要素として,他の各種モジュ-ルを組合わせることにより新しい作業用移動ロボットを実現する.平成3年3月までに実施した研究内容と成果は次の通り. 1.平成2年10月まで:2腕と視覚をもつ平行二輪車モジュ-ルを設計し製作した.作業腕の軽量化のため,1個のサ-ボモ-タで2関節の曲げとハンドの開閉・回転を行うことのできる新しい機構を開発した.これは形状記憶合金を利用したクラッチ,ブレ-キを用いるもので,設計通りの作動を行った.予算と時間的制約のため,平行二輪車は既存のものを改良(ウォ-ム減速機をボ-ル減速機に変更)した. 2.平成2年12月まで:作業腕の作動確認を行うとともに,姿勢検出用レ-トジャイロおよび磁気エンコ-ダを用いて姿勢の安定化制御を行った.制御腕と車輪を協調させて制御することにより,作業腕を独立に動かした場合でも姿勢の安定化を実現した. 作業腕の滑らかな動作のためにトルク変化法を考察し,これと系の合成重心フィ-ドバック法の適用により,ハンドが負荷を把握している場合にも高速で滑らかな腕の動作ができることを確かめた. 3.平成3年3月現在:(1)予算の関係でCCDカメラの購入はやめ,従来使ってきた256×256画素の監視用カメラを用いて外界画像取込みと処理を行っている.画像処理用のDSP(ディジタル信号処理装置)のソフトウェアを改良中.このDSPは処理速度が遅く,1画像あたり1分近くかかり,環境を認識して作業を行う際の最大のネックになっている.(2)画像処理時間の短縮を計る一方,処理時間を問題にせずに認識した画像情報に基づいて,作業腕に品物のハンドリングを行わせる実験を行い,台上におかれたピンポン玉の把握と別の場所への移動と入れ替えることに成功した.現在,ねじ込み式電球の取り付け取り外し実験に挑戦しており,次年度も研究を継続する.
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