研究概要 |
非同期転送モ-ド(Asynchronous Transfer Mode:ATM)は,様々な通信接続形態が可能であること,また,統計的多重化により,ネットワ-クリソ-スの有効利用が図られることなどから,次世代ISDN(広帯域ISDN)における情報転送方式として優れた方式と考えられている.このATMを用いた動画像通信においては,ユ-ザはネットワ-クに対してレ-トフリ-なアクセスが可能となり,これまでの伝送レ-ト一定の情報伝送方式から,品質一定の情報伝送方式への転換が図られるため,動画像符号化方式の枠組みを根底から変更する必要がある.本研究では,このような環境下での動画像符号化問題を,符号化モデル構築部とエントロピ-符号化部との2つの機能ブロックに分け,それぞれに適した方式を開発している.第1の符号化モデル構築に関する研究では,空間フィルタ処理に基づく階層的符号化を利用した動画像符号化方式を提案する.これによって可変レ-ト符号化における重要な問題点であるセルの廃棄による品質劣化を効果的に抑えることができる.また,シミュレ-ション実験を行い,提案方式のセル廃棄対策としての有効性を確認した. 第2のエントロピ-符号化に関する研究では,国際標準符号化方式にとり入れられるなどして話題となっている算術符号をとりあげ,これを動的構成とすることにより,一般の画像に対する効率的なエントロピ-符号化用符号を開発した.提案する手法では算術符号の符号化パラメ-タである劣勢シンボルの実効確率を2のべき乗の多項和近似した値から選択し,また,符号化パラメ-タの遷移法は符号化静特性および動特性から決定している.シミュレ-ションの結果,本提案方式はエントロピ-符号化用符号として有効であることを確認した.また,最後に本提案の階層的符号化法により,新たな形態の動画像通信の可能性を示している.
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