研究概要 |
2変数の関数の格子点における値の剰余を取り,その剰余が一定の値である場合には単位格子の形でプロットすることによって,多様な形が得られる.これを剰余パタ-ンと名づけ,模様のデザインに応用するための理論と手法を研究した. 1.剰余パタ-ンの性質:剰余パタ-ンの周期,対称性などの幾何学的特徴が剰余関数の代数学的特徴に基づくことを明らかにした.従って,パタ-ンの論理合成は剰余関数の解集合の論理合成に相当するが,人間の知覚はパタ-ンの論理合成に対する分解能力が劣っていて識別できないので,合成パタ-ンも価値がある. 2.生成原理のアルゴリズム化とデザイン手法の開発:必要な幾何学的特性に見合う剰余関数を選んで剰余パタ-ンを作り,これをいくつかOR合成して,複雑かつ美的なパタ-ンを作る.モチ-フの自然さを高める平滑化輪郭と部分塗り潰しを工夫し,作品の質が向上した.この模様(単色模様)をビット・プレ-ンと見て,ビット組合せに対して色を割当てると,単なる色違いとは異なる新しいモチ-フが発現する(カラ-模様).以上をプログラムとして纏め,パラメ-タ選択の基準を経験的に求めた. 3.模様の制作と評価:約200点を試作し,成果報告書に約80点を載せた.提案した模様デザインの手法は作品の質および多産性についても満足すべきものである.上記の知識を組み込めば無限のペ-ジをもつデザイン・ソ-スブックとして使うことができる. 4.ディジタル・システムの特殊性の利用:ディジタル・システムの非線形性,別の観点から言えば類推困難性,は制御するには都合が悪いが,本研究はこの性質に発想の役割を担わせる点に独自性がある.
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