(1)一定の曲率半径を持って曲がる誘電体導波路の伝搬特性を厳密に解析する手法を開発し、目下発表の準備を進めている.本研究で対象とした曲がり導波路の伝搬特性決定のための固有値方程式には、複素次数をもち、かつその複素数の絶対値が50ー70と大きく、引き数も40ー80と広範囲の値をとる円筒関数が含まれる. この関数の値を解析的に求める手法を新たに研究し、関数値を得た.このため、曲がり誘電体導波路に沿う伝送モ-ドの位相定数及び放射に基づく減衰定数を同時に算定し得ることになった. (2)リング状誘電体導波路による共振器のスプリアス共振の抑制については、原理の確認から一歩進めて、一般的な共振特性制御のための基礎的研究を行った.即ち、2個のリング共振器を結合させ、各リングの共振周波数間隔の最小公倍周波数間隔で合成共振が生起する原理は、マイクロ波およびミリ波帯の実験で確認したのち、リング間の分布結合が合成共振器のQ値に及ぼす効果を(1)の結果を用いて解析した.この過程において曲がり誘電体導波路どうしの分布結合係数を算定することに一部成功した.この結合共振機構によるスプリアス抑制の原理及び実験結果は1990年9月Budapestで開催された第20回European Microwave Conferenceで研究発表を行い、参加者特に東欧の研究者の関心を呼んだ.
|