研究概要 |
(1)被衝突船の衝突箇所が構造破壊に至る迄の弾塑性挙動(最終的な目的としては衝突船の被衝突船への突入量)を精度良く推定するために,衝突箇所を質量ー(構造破壊迄の経過を示す非線型)バネ-ダッシュポット系にモデル化,衝突時の被衝突船の運動応答並びに振動応答を同時に取り扱う広範囲な解析モデルと解析手法を開発した。 (2)解析手法の精度向上を計るための基礎的研究として, a.船側部に塑性変形から崩壊が生じる場合には,流体力の周波数依存性を無視すると船側部の破損・崩壊の程度が低目に評価されること。また,付加水質量に対するよりも流体減衰力に対する周波数依存性の方が影響が大きいことを明らかにした。 b.衝突時の動的構造応答解析に必要な当該部の構造減衰性能を推定する実験的手法の開発・改良を行ない,衝撃試験結果を解折することによって,梁部機,十字梁部機,板部機について構造減衰係数と周波数の関係を求めた。 (3)高速族容艇の防波提への衝突事故を数値シミュレ-ションした。算定された衝突速度と船首構造の崩壊の程度が事故の状況と極めて良く一致することから,本解析モデル・解析手法の妥当性を明らかにした。 (4)船舶の耐衝突強度を設計する上で最も重要なのは,衝突船の被衝突船への突入量の算定である。本研究では,設計上での安全性を考慮して剛体の船首構造をもつ船舶がパナマックス型のバルクキヤリア-に横衝突したときの衝突船の被衝突船の船側構造への突入量について,衝突船と被衝突船の質量比,衝突速度,船側構造の剛性を表わすバネ定数,その部の構造減衰係数等をパラメタ-とする設計図表を作成した。
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