研究概要 |
海洋気象衛星が送信する画像情報を直接受信することができる比較的小規模の受信システムが開発され,海洋変動の特性を解明するために利用されている。本研究の目的は,このような人工衛星によるリモ-トセンシングの情報を船舶等の海事システムの設計・運航のシステム開発に利用するための方法論を確立することにある。研究開発項目として、(i)衛星画像の画像解析プログラムの作成、(ii)気象・海象のデ-タベ-スの構築と低気圧モデルの設定法の確立、(iii)海事システムの周りの海域の気象を予測あるいは再現するための数値技法の開発、を設定した。さらに、(i)〜(iii)の結果に基づいて、海事システムの設計と運航に対する海洋環境設定支援システムを構築した。 即わち,平成2年度において、九州大学造船学教室に設置されている“気象衛星「ひまわり」直接受信システム"から得られる諸情報のデ-タを解析し、システム開発に有用な画像解析プログラムを作成した。さらに、低気圧モデルを設定しそのモデルを用いて海象・気象状況の予測法のプログラムを作成し,船舶の周りの一日程度の行動範囲を含む海域の海象を予測・再現するためのシミュレ-ション技法の開発を行った。 次に、平成3年度において,前年度に開発した海洋環境設定支援システムの有用性を検討するための種々の条件の基にシミュレ-ション計算を実施した。応用例として、超高速船の出会波の斜追波臨界状態の判別のために本システムを適用し,超高速船の耐航性能の観点からの安全性を概略推定できることを確認した。 海洋環境(海象)設定支援システムは,気象衛星画像情報デ-タの加工ソフトツ-ル,風系推算ツ-ル,ランダム波数値シミュレ-ションツ-ル等のモジュ-ルから構成されている。今後、本システムを種々の海事システムの設計例を適用し,さらにシステムの改良を計る予定である。
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