研究概要 |
神山(1986)による速度応答スペクトルの重回帰式(M_J、△、D、ダミ-変数、の諸項より成る式)に基づき、以下に示す気象庁地震計による記録を用い、ダミ-変数の係数Aj(T,h)から、気象庁各観測点のやや長周期帯域における周期別ゆれ易さを評価することを試みた。 1.87型電磁強震計記録の解析 関東地方において、ゆれ易い東京とゆれにくい銚子を例にとり、最近の2ケ年間に主に関東地方で発生した25地震(M_J=4.7〜7.1)の同強震計記録から速度応答スペクトル(h=0.1%、R,T,√<R^2+T^2>の3成分)を計算し、重回帰分析を行った。その結果、(1)M_Jの偏回帰係数は周期によらず1前後、(2)M_J=7.0、△=100kmとしたときの東京での予測スペクトルは10数kine程度で、これは田中ら(1979)が大森式地震計などの記録から予測した値とほぼ等しい、(3)銚子に対する東京の周期4秒付近のゆれ易さは2.0前後で、岡田・鏡味(1978)によるやや長周期ゆれ易さ(東京2.0、銚子0.76)の値と整合している、などの結果が得られた。 2.一倍変位強震計記録の解析 東北太平洋岸沖の7大地震(M_J=6.7〜7.9)における.ゆれ易い新潟と標準的な札幌を含む5観測点(残りは函館、盛岡、仙台)の、のべ50成分の同地震計による記録の数値化デ-タ・ベ-スを1.と同じように重回帰分析した。その結果、(1)M_Jの偏回帰係数は周期によらず1前後、(2)札幌に対する各観測点の周期4秒付近のゆれ易さは岡田・鏡味による値と同程度、(3)M_J=7.1の(三陸はるか沖)地震の記録を抜いて、同地震の予測スペクトルを70%の信頼区間をつけて求めたものは、同地震の実測スペクトルに良く一致した、などの結果が得られた。 3.59型電磁地震計記録について 本年度は三陸はるか沖地震の4つの余震における約40記録を収集し、次年度以降の解析の下準備をした。
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