| 研究概要 |
本研究では,試験AでアンボンドのフルPCとパ-シャルPCはりのフォ-リングブランチ領域を含む基本的曲げ耐荷特性を検討し,次いで試験Bで横拘束鉄筋の配置によるコンクリ-トの圧縮靭性の改善がアンボンドPCはりの終局時耐荷性状に及ぼす効果を検討した。
本研究から得られた主な結果を要約すると以下のとおりである。
1.アンボンドPCはりに対して、適量の普通異形鉄筋の付加配置は、曲げひびわれの分散性状の改善のみならず、ひびわれ発生後の部材剛性や終局時のPC鋼材応力の増大を図る上からも有効である。
2.アンボンドPCはりへの高強度コンクリ-トの適用は、靭性や最大耐力時までのPC鋼材応力の増加量を増大させる上から有効である。
3.アンボンドPC鋼材の載荷荷重による最大曲げ耐力時まで引張応力の増加量は、部材軸に沿う曲げモ-メント分布によって異なるが、変形適合係数αを0.2〜0.3程度とした計算値とかなりよく一致する。
4.アンボンドPCはりの場合,横拘束鉄筋の配置にともなう最大曲げ耐力の増大がボンドタイプの場合より著しい。この傾向はPC鋼材の緊張応力が小さい場合ほど顕著である。
5.アンボンドPCはりでは横拘束を大とするほど最大荷重時の鋼材応力が増大する。この傾向は鋼材の緊張応力が小さいほど顕著である。
6.鋼材係数が0.3程度以下のアンボンド部材では,PC鋼材の有効プレストレスが0.6f_<PY>(f_<PY>:PC鋼材の降伏強度)程度でも2%程度の横拘束鉄筋を配置すれば,終局時鋼材応力は降伏強度に到達する。
7.ボンドタイプはアンボンドタイプに比べ剛性が大きいが,無拘束の場合は最大耐力以降の荷重ーたわみ曲線の低下勾配は後者よりやや急激となる。また,後者の場合には1%程度の横拘束筋比では終局時鋼材応力や耐力の増加はさほど大きくないが,靭性は著しく改善される。
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