研究概要 |
下水処理水の塩素消毒効果を促進させる方法として,処理水にCO_2を吹込み処理水のpHを低下させ,その後塩素消毒を行なう方法を提案し,その効果を実験的に確め次のような結果を得た。(1)2次処理水にCO_2を吹込みpHを下げた時,アルカリ度の値によって若干差はあるが,pHは約4.8で定常となり,緩衝能を持つ2次処理水でも十分にpHを下げることができる。(2)塩素消毒によるE.coliBの不活化において,塩素注入量が1.5,3.7mgCl/lの時,CO_2の吹込みとH_2SO_4の添加によるpHの低下によって,E.coliBはより不活化される。また,H_2SO_4の添加とCO_2の吹込みによるE.coliBの不活化の差はあまりないので,CO_2の吹込みはH_2SO_4の添加と同程度の効果が期待できる。(3)塩素消毒によるS.faecalisの不活化において,H_2SO_4の添加によってpHを低下させた時,コントロ-ルに較べてより不活化される。しかし,CO_2を吹込んでpHを低下させた時は,コントロ-ルよりも不活化されず,CO_2吹込みによる効果はあまり期待できない。(4)塩素消毒によるコリファ-ジの不活化に対するCO_2吹込みの効果は,塩素注入量が5.0mgCl/lおよび12.0mgCl/lのどちらの場合においても効果が見られた。また,塩素注入量12.0mgCl/lでは,H_2SO_4の添加とCO_2の吹込みによる不活化の効果の差はあまりなかった。 放流水域すなわち海水浴場と付近に流入する感潮河川の感潮域に対し,1年間(7回)にわたり大腸菌ファ-ジ濃度を測定し,次のような結果を得た。(1)宿主菌として3種のE.coliBを用いたが,E.coliK12A/λ(F^+)が中では最も多くの大腸菌ファ-ジを検出できた。(2)糞便性大腸菌群と大腸菌ファ-ジ濃度の相関は低かった。(3)海水浴場付近での大腸菌ファ-ジは,感潮域で増加・減少せず,河川水の海水による希釈の程度で決まっていることがわかった。(4)季節変動のパタ-ンは明確でなかった。
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