研究概要 |
下水汚泥溶融システムは1300〜1500度で汚泥中の無機成分を溶融することにより、下水汚泥を著るしく減量化し,汚泥中の重金属をスラグ中に安定・固定化する方法である。一方,下水汚泥溶融処理によって得られるガラス質スラグを建設資材として広く利用するため,結晶化スラグにする方法が検討されているが,スラグの結晶化は汚泥中の無機成分組成に大きな影響を受ける。これまでの実験により,次のような結果が得られている。 1.下水汚泥中の主要無機成分は酸化物に換算してSiO_2,Al_2O_3,CaO,Fe_2O_3であるが,これ等混合物の溶融温度は非常に高い。しかし,無機成分中のNa_2O/CaO比をNa添加,Ca添加によって0.2〜0.4の範囲に調整すると,溶融温度は約200度低下する。 2.溶融処理において,高分子下水汚泥の最大核形成温度は約700度,また,最大結晶成長温度は約1100度であった。下水汚泥を高温で溶融し,この融液を1100度で1時間保持した後,冷却すると結晶質スラグが得られる。また,ガラス質スラグを再加熱すると容易に結晶化することが判明した。 3.スラグの強度はスラグ中のSiO_2含有量の影響も受け,SiO_2含有量が増大すると強度も増大するが,融液の粘度も増大するため溶融温度が上昇する。この場合,塩基度(CaO/SiO_2)を約1.0に調整すると,溶融温度を低く維持することが可能であった。
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