研究概要 |
(1)噴流攪拌固液分離槽による下水処理 長さ240cm,幅30cm,深さ85cmの長方形水路に板の半面に直径8mmの小孔を48個空けた多孔板を,孔面が交互になるように5cm〜20cm間隔に配置した装置を用いた。実験は都市下水処理場の最初沈殿池流出水を原水として行った。分離槽流入部に凝集剤としてポリ塩化アルミニウムをAlとして10,5,2.5ppm添加した。実験結果をまとめると以下の通りである。(a)分離槽内で凝集と沈殿が同時に生ずる条件として,噴流速度10cm1秒程度,多孔板間隔20cm,水理学的滞留時間45分程度が最適である。(b)最適条件においてAl添加濃度を10ppmとすると,濁度とSSの除去率は90%以上,リン除去率は90%以上,TOC除去率は50%程度であった。(C)分離槽では0.1μm以上の寸法を持つ汚濁物はほとんど除去された。 (2)上向流バイオフィルタ-による下水処理 高さ200cm,幅50cm×50cmの中型装置と,高さ85cm,幅23cm×23cmの小型装置を用いた。中型装置ではシラス多孔質ガラス(SPG)管曝気装置により槽外で曝気した。装置内には目開き1.2mmのステンレス網を流れに垂直に配置した。網に形成された生物膜により下水を浄化した。実験結果より,流入下水量の2倍程度の曝気量で水理学的滞留時間5時間程度とするとBODとSSの除去率は90%程度となった。 (3)噴流攪拌固液分離槽と上向流バイオフィルタ-を組合せた下水処理 前処理としての噴流攪拌固液分離槽で0.1μm以上の汚濁物を分離し,残余の汚濁物を上向流バイオフィルタ-で生物膜により吸着・生物酸化する実験を行った。前処理を行った結果,バイオフィルタ-の水理学的滞留時間は2時間程度に短縮できた。
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