研究概要 |
我が国でも信頼性設計法に基づく綱構造限界状態設計規準(案)が発表され、世界的にもこの設計体系が主流となりつつある。この設計体系では部分安全係数手法が取られていることから部材単位の低抗強度の正確な把握が不可欠である。本研究は数値解析と実験デ-タを基本に、圧縮と曲げを受ける部材の耐力と変形能力を評価するとともに補剛材の設計にかかわる諸因子の検討も行なった。得られた結果を以下に記す 1)不確定因子の低抗強度への影響 細長比の小さい領域では降伏軸力、全塑性モ-メントに関わりが深いため素材の降伏応力に影響され易い。細長比の比較的大きい領域では圧縮材としては低抗強度が降伏応力度に関係しないオイラ-座屈荷重によって決まるようになるため変動係数は高軸力比の領域で小さくなる。一般に細長比別の変動係数の差は高軸力比の領域において大きく、低軸力比の領域において小さい傾向を示し軸力比別の挙動の差が顕著に現われている。 2)部材低抗強度式の提案 P/(P_2)+(ΨM)/(M_u)【less than or equal】1.0 for β=0.0,Ψ=1/1.14,for β≠0.0,Ψ=1.0 本提案式は解析結果の平均値より0.6σ低い。解析結果の下限値は本提案式の耐力係数を0.85としたものに相当し、その安全性指標は3.0前後になる。 3)座屈限界耐力にたいする必要軸補剛性比は軸力比により変化し高軸力比の短い部材ではむしろ軸剛性は小さい。最大耐力が全塑性モ-メントに達するのに必要な剛性は逆に高軸力下では大きい。変形能力が完全補剛となるのに必要な必要補剛剛性は、低軸力比の場合、局部座屈で限界が押さえられるので座屈補剛の範疇には入らない。
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