研究概要 |
堆積盆地状の不整形地盤の短周期地動に及ぼす諸要因の影響を吟味する目的で,その大部分が軟弱な水平成層地盤で両端部が傾斜した地層境界で閉じられる不整形地盤(タイプ2)と,地層境界が余弦関数で表される不整形地盤(タイプ1)の二つの2次元の堆積盆地状の不整形地盤モデルを設定し,平面SH波入射による地動応答を境界積分方程式により振動数8Hzまで精度良く求めた.卓越振動数が4Hzと6Hzの人工地震波を作成し,それによる地動応答を評価した結果,タイプ2の地動応答はタイプ1のそれより,両端の傾斜地層境界より誘発される表面波(Love波)の影響により,より複雑で継続時間が長くなることや,地動最大応答は盆地中央部よりも傾斜地層境界近傍で,比較的高い振動数で起こる傾向があることなどを明らかにした.さらにタイプ2の地動応答を硬質地盤上の応答に対するスペクトル比を評価し,各サイトの地動応答を地層構成が水平成層地盤であるとした場合のスペクトル比と比較検討した結果,水平成層地盤の場合のスペクトル比は,表層地盤の固有振動数に応じてピ-クが現れるのに対して,タイプ2の場合のそれは,これらのピ-クの谷間を表面波による影響で埋めるような形で広帯域の応答を示すことを明らかにした. また,盛土と切土からなる造成不整形地盤の切土地盤4地点に模型基礎を設置し,油圧制御起振機を用いて模型基盤の強制振動試験を行い,測線の地盤構成が切土地盤→盛土地盤→切土地盤へと急変する不整形地盤の地動分布を詳しく測定し,異常増幅域の不整形地盤特有の振動特性に及ぼす,地下の速度層構造,伝播波動のタイプ,並びに振動数等の影響を詳細に検討した.さらに,測点の粒子軌跡,隣接する測点間のコヒ-レンス,および位相速度の分散性の評価を行うことにより不整形地盤の波動伝播特性を検討した.
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