研究概要 |
高強度コンクリートに関する平成2年度〜4年度にかけての一連の研究を通して得られた成果をまとめると,次のように要約できる。 1.フライアッシを焼成した人工軽量骨材(軽骨)使用の高強度軽量コンクリートは,フレッシュ状態での施工性及び硬化後の諸性状も良好である。高強度化に関しては,圧縮強度500kgf/cm^2程度の強度の確保は,水セメント比及び材令等の組み合せにより十分可能である。 2.軽骨及び砕石使用の両コンクリートともそれぞれ使用セメント(普通ポルト,フライB種,高炉B種)による影響はさほどなく,特に高強度化に従いその傾向が明らかである。ただし,フレッシュ状態でのコンクリートの特性は使用セメントにより若干差異が生じている。 3.構造体に準じに柱形供試体によるコア強度の全般的傾向は,軽量及び砕石コンクリートともに水セメント比の減少に伴い柱上部・下部の強度差は小さくなるが,逆に水セメント比が増加すると柱上部の強度が下部に比べて低くなる。また,軽量コンクリートの場合は砕石コンクリートに比べて養生方法による影響が大である。 4.標準供試体の場合の圧縮強度は養生方法による影響を受け,一般に砕石コンクリートでは標準養生,現場水中養生,封かん養生,気中養生の順に強度低下を示すが,軽量コンクリートでは気中養生及び封かん養生の場合が標準養生及び現場水中養生より高い強度を示す。 5.標準供試体と柱形供試体(コア供試体)との水セメント比30〜50%の範囲における圧縮強度の比較では,砕石コンクリートの場合には柱上部の強度が標準供試体の強度に比べて若干低くなっている。 6.高強度化に対しては水セメント比の低減と同時にシリカフュームの 混入が効果的である。しかし,シリカフュム混入率が20%以上になる と中性化深さが著しく大きくなり,PHの低下傾向が認められる。
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