研究概要 |
1.広島市庚午南住宅の居住者調哉の結果,(1)戸建的集合住宅の必要性や戸建感に対する認識についての居住者意識は強い。(2)戸建感を感じる度合は、集合住宅のアクセス方式ほかのつくられ方が強く作用している。(3)外部専用階段の接地性向上への効果がうかがえる。(4)戸建感を感じる要素として、極めて多様な要素への反応がみられ、戸建感への寄与の度合も得られた。(5)入居前に戸建感を感じない人が、庚午南住宅に入居後にそれを感じる人が多く,またその該当者の永住意識は高い。 2.庚午南住宅以外の事例調査(居住者調査)を変更し、大学建築学科学生調査を行った。その結果、(1)戸建感のイメージについては、独立・個性・接地・専用庭付き・高いプライバシーといった単位性、接地性、領域性に関するものが得られた。(2)戸建感を醸成する要素の抽出及びその要素の強さ(戸建感への寄与の度合)を得た。 3.上記1.2の調査の戸建感を醸成する要素に関してクラスター分析を行った結果,両者のクラスター数・樹形等が多少異なるが、全体より単位性、接地性、領域性の3観点より各クラスターを布置可能である。 4.国内・外の事例より、上記のクラスター(学生調査での12区分を採用)別に、戸建感を表現する計画的要素・手法について整理し得た。 5.追加調査;集合住宅ファサードに対する学生実験より、戸建感醸成上注目される,住戸外面よりみた一住戸の把握の形態的特徴を得た。 6.まとめ;(1)戸建感醸成の観点より集合住宅の計画を行うことに対して、居住者は肯定的といえ,戸建感醸成への各種要素に対して敏感な反応を示している。(2)戸建感を醸成する各要素は、単位性の軸を中心に、接地性、領域性の観点より整理できる。(3)これらの各要素が戸建感にどの様に寄与するかは、要素の属するクラスターとクラマター相互の関係より概ね解釈が可能である。(4)なお、一住戸の形態把握の特徴も得た。
|