研究課題/領域番号 |
02650437
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・建築意匠
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 邦男 京都大学, 工学部, 教授 (20025927)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1991年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 諸芸術の総合 / 建築術arkhitektonike / Dessin / 錬金術 / 幾何学的方法 / 音響的形態 / 原型archetype / モデュ-ル・規制図形 / ル・コルビュジエ / ヴィジョン / ビュリズム / 制作 / 世界 / サビナ / 表象 / 建築術 / ピュリズム |
研究概要 |
2年間にわたり、Le Corbusierの絵画・彫刻・建築におよぶ広範囲な制作活動を、Fondation de Le Corbusier,Paris(FLCと省略)に保存されている第一次資料の解読から調査し、この建築家の思惟と実践が、西洋古典の伝統を継承するのは、如何なる点においてであり、またそれが現代において如何なる意義をもつかについて、多少なりとも明らかにすることができた。平成2年度はとくに彫刻・絵画作品について、制作時代別に解題、主題性の解釈、建築論的意味を考察した。これらの考察から造形における「音響的形態」と呼ばれるものが、主・客の「あいだ」における精神的深奥の共鳴現象であること、またLe Corbusierの錬金術的思想の方法を分析することにより、歴史的・意味論的に原初の太古のArchetypalな生命への遡行と、芸術作品によるその顕現が真の主題であることが明らかになった。 これを受けて、平成3年は、とくに彫刻作品の制作の実態を、Le Corbusierとその共同制作者J.Savinaの往復書簡(FLC 所蔵)から跡づけた。この作業によって、絵画・彫刻・建築における段階的差異と、それぞれに通底する要素を明らかにできた。作品の形態は常識的にこれらの諸芸術を区別するものの、通底する要素、とくにDessin(輪郭を描き出すこと)、直交軸ヤモデュ-ルや規制図形などに基づく幾何学的方法は、人間精神と世界を計測するものである。それが、彫刻においては、モデルとして試みられ、建築作品では、人間が作品の中に入り込むことにより、作品、人工物、自然物など一切の存在者が測られ、それによって自己も測定される。これが建築術arkhitektonike tekneの最重要事であったことが、具体的な推論された。またこれが「諸芸術の総合」の意味でもある。 以上は、主として絵画・彫刻作品の制作の考察から導かれたもので、建築作品制作の実態とその意義を原資料に照らして解明し、解釈し、以上の成果を補完する作業が今後に残されている。この研究概要の公表は、裏面に掲げる通りであるが、詳細は別途の論文にまとめられる予定である。
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