研究課題/領域番号 |
02650460
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
奥田 重雄 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50111365)
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研究分担者 |
谷本 久典 筑波大学, 物質工学系, 助手 (70222122)
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (40114136)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1990年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 核融合炉材料 / 316ステレンス鋼 / 高サイクル疲労試験 / 照射下疲労試験 / プロトン照射 / 温度パルス / 疲労誘起析出 / 炭化物 |
研究概要 |
核融合炉材料では、通常の繰り返し応力に加えて高エネルギ-中性子によるパルス照射が予期されるが、これは疲労環境としては全く未知のものである。本研究では、疲労過程に及ぼすその場照射の効果をより解析的に理解する目的で、[照射損傷パルスの効果]=[パルス照射の効果]ー[温度パルスの効果]と仮定し、316ステンレス鋼の溶体化処理材について、互いに比較し得る条件での高サイクル疲労試験を20MeVプロトンパルス照射(2〜5μA/cm^2)の場合とハロゲンランプ光による温度パルス(△T【similar or equal】10K)の場合について進めた。316ステンレス鋼の溶体化処理材では疲労誘起析出が高サイクル疲労の過程で重要な役割を演じている。まず、炭素含量がそれぞれ0.08w%の316(STー1)、0.04w%の316F、0.001w%の316PSIについて非照射疲労試験を行い、疲労硬化並びに疲労寿命が炭素含量の低下とともに大きく減少することを見いだした。この結果は、疲労誘起析出物は主として炭化物であることを示唆している。[照射損傷パルス]は、炭素含量の比較的高い316(STー1)では疲労誘起析出の促進をもたらし、炭素含量を減じた316Fでは疲労試験温度により抑制あるいは促進をもたらした。これらの結果は、炭素含量の低下にともない疲労誘起析出物の大きさが小さくなり照射分散を受けやすくなると考えると基本的には説明できるが、316Fで見られた複雑な温度依存性については更に研究を進める必要がある。[温度パルス]は常に疲労硬化を抑制した。これは、転位運動の促進による疲労誘起析出物の分散に起因すると推測された。以上のことは、その場照射あるいは温度パルスは316ステンレス鋼の疲労過程に重大な影響を及ぼすことを示唆する重要な結果である。照射下疲労試験についての報告例は極めて限られており、更に研究の推進を計る必要がある。
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