研究概要 |
1.高周波内部摩擦測定装置の製作 横振動法による内部摩擦測定装置の中心となる,試料の振動の励起および検出をおこなう電子回路を設計,製作した.しかし,検出信号を強度が小さく測定精度がよくないので,今後改良をおこなう必要がある. 2.ニッケル中の置換型不純物と水素の複合体による緩和現象 SiまたはTiを含むNi基希薄合金中における水素による緩和現象を,内部摩擦および磁気余効の測定により調べた.いずれの合金においても,置換型不純物と水素の複合体の再配向にもとづくと考えられる内部摩擦ピ-クが観測され,緩和の活性化パラメ-タ-が求められた.Niー2at.%Ti合金の多結晶と単結晶の内部摩擦を測定した結果,H原子は,Ti原子の最近接八面体位置に捕捉されているのではなく,第二近接八面体位置,もしくは最近接四面体位置を占めていると推察される.また,緩和ピ-クが外部磁場により小さくなることが見出された.この効果は,H原子のポテンシャルエネルギ-への磁気的寄与が大きいことによるという考え方ができるが,今後実験,理論両面から詳しく調べなければならない. 3.Ni_3Fe規則/不規則合金中の水素による緩和現象 規則格子中の水素の短範囲拡散挙動を調べるために,Ni_3Feについて規則度をパラメ-タ-として希薄合金の場合と同様な実験をおこなった.内部摩擦ピ-クの結晶方位依存性,ピ-クへの外部磁場の効果は希薄合金中の緩和ピ-クの場合と同様であった.この合金においても,水素原子の存在位置が八面体位置でない可能性,また緩和ピ-ク自体に磁気的な要因が含まれている可能性を検討する必要がある.
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