研究概要 |
GaAsーInAs化合物半導体の格子定数は従来の結果と非常に良い一致を示し,ベガ-ドの法則が成り立つことが確かめられた。この混晶に極微量のAsあるいはGaを添加して,線化合物の片側の組成に偏らせ,安定化ジルコニア固体電池起電力法を適用して700〜900℃で活量を求める方法を考察して,全組成範囲にわたって測定を行った。Gaの活量はGaAsの組成の増加に対して,広い組成範囲で低い値のままでごくわずかの上昇を示すのみで,80%を越える組成あたりから急激に上昇することが判明した。この傾向はAsの濃度が高い側でも低い側でも同じであり,後者の場合前者に比べてほぼ100倍高い値になっていることがわかった。この結果を用いると混晶の安定に存在する蒸気圧の上限と下限が求められる。現在のところ比較できる実験デ-タは存在しないが,GaAsからの蒸気圧は従来の信用できる値と完全に一致している。この活量の,従って蒸気圧の組成依存性は焼き入れした試料を基にして得られた相関係ときれいに対応している。露点法による測定を試みたが熱力学的数値を議論できる精度はえられなかった。 螢石を固体電解質として用いるとアルミニウムを含む合金の活量が測定できる。GaSbーAlSb系化合物半導体にSbとAlF_3を混合して化合物の組成を2相領域に固定して600℃近傍で測定した。全組成範囲にわたりアルミニウムの活量はひじょうに小さく,AlSbが高い濃度になって比較的上昇することがわかった。良く似た測定方法によるSbーAl2元系のサモクバル(ソ連)の結果よりもかなり小さい値がえられている。平衡に達するのに長時間を要するのが,測定温度に達してからセルに交流の小さな電圧を印加することにより時間を短縮できることがわかった。露点法による測定は,AlSb濃度が高くなるとシリカ容器に変色を生じ測定不能となることがわかった。
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