研究概要 |
合金の状態図は材料の開発・研究においてもっとも基本的でかつ重要なものである。本研究ではアモルファス材料として重要な遷移金属-ホウ素系の状態図データベースを作成した。 まずNb,Rh,Ag,IrおよびAuを除く残り21種の遷移金属-ホウ素2元系状態図については,パーソナルコンピュータ上で誰にでも容易に扱えるように,起動から終了までをすべてマウス操作による選択のみで行えるデータベースとした。 遷移金属-ホウ素系は実用的に重要であるにもかかわらず,3元系以上の多元系状態図はほとんど研究されていない。そこで本研究では,特にFe-Co-BおよびFe-Ni-B3元系を中心として実験的に研究すると共にこれらを熱力学的に解析した。この方法は各系に出現する合金相の自由エネルギーを温度と組成の関数として評価し,これを用いて相平衡を計算して状態図を構成する。この方法によれば,各2元系の解析結果から3元系以上の多元系の状態図をある程度予測することが可能である。 本研究では実験および熱力学的解析の両方を行ってきたFe-B,Co-B,Ni-B各2元系に加えて,さらにV-B,Cr-B,Cu-B各2元系についても熱力学的解析を行い,得られた熱力学的パラメータをデータベース化した。このデータベースTMB(Transition Metal-Boron)を用いることによって,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cuの6種の遷移金属からなる6種の2元系,15種の3元系,20種の4元系,15種の5元系,6種の6元系および1つの7元系の合計63種の遷移金属-ホウ素系状態図を計算することが可能となった。
|