研究概要 |
ビス(12ークラウンー4)型化合物,とくに2ードデシルー2ーメチルービス(12ークラウンー4)は研究代表者らが初めて合成した化合物で,ハ-ドな陽イオンであるアルカリおよびアルカリ土類金属イオンの中でNa^+に対して,とくに高い親和性を示すため,Na^+センサ用のニュ-トラルキャリアとして実用化されるに至っている。しかしNa^+センサとして使用した場合,選択係数より求めたイオンの濃度の比(K^+/Na^+)は約80で,さらに選択性の改善が望まれている。本研究では二つの12ークラウンー4環連結部の脂溶性,かつバルキ-な置換基の種類を変化させることによって,さらにすぐれたNa^+選択性を有する化合物を開発しようとした。連結部の置換基としては2ーオクタデシルー2ーメチン;2.2ージドデシル;2.2ージベンジル;2ードデシルー2ーベンジル;シクロブタン環などを選んだ。この中で合成した2.2ージベンジル型化合物を用い,膜溶媒としてNPOE,添加塩NaTFPBの系でNa^+に対して検量緑を作成したところ,活量の対数値でー4.5からー1.0の広い範囲において傾き約59mVの良好なネルンスト応答を示し,Na^+のK^+に対する選択係数(logK^<pot>_<NaK>)は前述の2ードデシルー2ーメチルのー1.90に対しー2.05(K^+/Na^+〓115)と改善された。選択性の改善は二つの12ークラウン環にはさまれた空間に,より強固にNa^+が保持されたためであると考えられるが,このことを ^<23>NaーNMRスペクトルで検証するため,ニトロメタン中におけるNaピクレ-ト・ビス(12ークラウンー4)錯体について,2ードデシルー2ーメチルと2.2ージベンジルの両者の場合を比較検討した。スペクトルでは溶媒和しているNa^+と錯形成しているNa^+の二本のピ-クが測定されたが,2.2ージベンジル型化合物の方がより明確なピ-クの分裂が認められた。このことは選択性における改善と対応している。
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