研究概要 |
PC単独ベシクル及びPCに長い炭化水素鎖と有するクラウンエ-テル(C_<18>ーCrounー6)を混入させたベシクルへの各種ポリアミノ酸の添加により吸着及びベシクルの凝集機構について総括的な実験的検討を行い,以下の様な結論を得た。 1)クラウンエ-テル基と水分子の水素結合によって混合ベシクル表面には水和層が存在し,リン脂質ベシクルの疎水コロイドとしての性質が変化する。 2)ベシクル表面でのクラウンエ-テルとカチオンの錯形成は両者が接近する際の反発ポランシャルに依存し,大きなポリアミノ酸とは錯形成しにくく吸着量は増大はしないが、金属イオンや小さなアミノ酸とは強く錯形成してベシクル表面への吸着量を増大させる。 3)クラウンエ-テル基は錯形成後には水和力を弱めるため,錯形成が起こるとベシクル表面上での水和層の影響は少なく粒子は凝集するが,錯形成しにくい系では溶媒とのaffinityが保たれベシンルは分散している。 実際には以上の3点の総合作用によって混合ベシクルへのポリアミノ酸の吸着とその相互作用が決定されると考えられる。 さらに,我にはベシクル粒子と吸着物質の相互作用を調べるため,吸着物質が誘発するベシクル粒子の凝集塊の形状を詳しく調べ,そのフラクタル次元の解析より各々の系での相互作用の比較を行った。
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