研究概要 |
ケイ素原子を利用してケト型を環化付加反応に有利なエノ-ル型に固定しこれを基本単位に各種π系と共役させる事によって多様なジエン成分が構成できる。本研究では共役する基として芳香族性を有する環の一辺を構成要素に取り入れた。芳香環のアシル化は容易なので、続いてシリル化、[4+2]環化付加の一連の過程を経る事により縮合多環系芳香族化合物の合成法が確立できる。この様な考えに基づきピロ-ル系のインド-ル系への変換を実現した。ピロ-ルはDMAーPOCl_3でアセチル化され更にLDAーTMSClでシリル化される。このアセチルピロ-ルシリルエノ-ルエ-テルについてN上の置換基R=COOEt,SO_2Ph,Me,SiMe_3を選び代表的なジエノフィルとしてNーフェニルマレイミドを用いて封管加熱(115℃)した。結果として各々の電子的・立体的特性を反映した環化反応性を示した。即ちR=COOEtは環化付加後空気酸化を受け再芳香族化した。R=SO_2Phは環化付加と同時に脱保護が進行して再芳香族化した。又R=Meではもう一分子のジエノフィルとエン反応して再芳香族化した。R=SiMe_3は高いHOMO準位にもかかわらずシリル基の嵩高さの為シソイド型を取り得ず反応性を示さなかった。この中でもR=SO_2Phの場合はいわゆる“deprotective[4+2]cycloaddition reaction"として直接N無置換インド-ル骨格を与え興味深い。ジエノフィルとしてアクリロニトリルを用いるとシアノ基は特異的に4位に配向された。この他、oーヒドロキシベンゼンと共役するシリルエノ-ルエ-テル系からは、ニトロソベンゼンとの付加・分子内環化・酸化の一連の行程をワンポットで行う事により2ーイミノ3ーベンゾフラノン系へ導く方法を見いだした。以上ケイ素原子を利用してインド-ル・ベンゾフラノン誘導体への2種類の環形成反応様式を開発した。
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