研究概要 |
ビニルポリブタジエン/ポリイソプレン2成分ゴムブレンドは相溶性に優れ,ビニル含量32.3wt%でLCST形相図を得ることを概に発表した。本研究ではその相溶化の構造を追求するため,ブレンドによる過剰体積及び螢光プロ-ブを用いたミクロ分子運動の解明を扱った。その結果,密度勾配管法に基づく25℃での比容の組成変化では高ビニル含量で全て負の過剰体積を示すことが判明し,相溶化に伴い,一定の安定化構造がコンパクトになる形で生ずるものと判断された。又相図系VーBR(32.3)/IRブレンドではデラトナトリ-によりその膨張係数を測定した結果,バイノ-ダル線の上下で△α=(VーVbn)/(TーTbn)(Vbn,,Tbn各々バイノ-ダル体積,温度を示す)が不連続に変化することを見い出した。これは相図の境界線上下で構造変化のあることを示唆し,体積収縮を伴うという密度の結果を裏付けた。特にブレンド組成に対し低温で負の過剰体積,65℃で加成性,高温100℃で正の過剰体積を確認した。一方螢光分析では,螢光プロ-ブの選択に困難を極め多種中よりピレンを使用することにより,ゴム中での螢光発光スペクトル,励起スペクトルをトルエン溶液系にて発現させることに成功した。その濃度はピレン,2×10^<ー2>mol溶液系中で1.75×10^<ー5>g/gslnであった。Fig・1に結果の一部を示した。今後さらにこの特性ピ-クをゴムブレンド中に見い出す工夫により,ブレンド中のゴムのミクロ分子挙動に関する情報を得ることが可能であるとの新たな知見を得た。
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