| 研究概要 |
1.セルロ-ス/合成ポリマ-ブレンド膜の調製と熱的・力学的特性について:ジメチルアセトアミドー塩化リチウム(DMAcーLiCl)を共通溶媒とした高分子均一混合溶液から,凝固再生法によって,セルロ-ス/ポリエチレンオキシド(CELL/PEO)ブレンドフィルムを作製した。ブレンド膜中でのPEO成分の溶融結晶化挙動をDSC測定により追跡し,非晶CELL成分との相互作用を考察して結晶化のkineticsを定量的に解析しえた。本ブレンドフィルムは良好な力学性能を有し,特に破断伸度が著しく高くなることが分かった。この他,ポリアミドや脂肪族ポリエステルをセルロ-スの対成分に用いたブレンド調製と相構造の解析を行った。
2.IPN(相互侵入高分子網目)構造を有するセルロ-スコンポジットの作製と物性評価について:セルロ-スの均一溶液を2ーヒドロキシエチルメタクリレ-ト(HEMA)モノマ-中に凝固させてリオゲルフィルムとし,モノマ-の塊状重合によりセルロ-ス/PHEMAコンポジットを調製した。熱分析,粘弾性測定,力学試験等を行い,セルロ-スのゲル状態が固定化させたIPN様の構造をもつ複合体が得られていることを確認した。同様の方法により,セルロ-ス/ポリグリシジルメタクリレ-ト系IPNコンポジットの合成にも成功した。
3.その他:(1)エチルセルロ-ス/ヒドロキシプロピルセルロ-ス/アクリル酸三成分系の光学的諸性質と相挙動を調べた。それと共に,アクリル酸モノマ-の重合等によって,セルロ-ス誘導体の液晶構造が固定化された相を含む多成分多相系コンポジットの作製が可能なことを示した。(2)ニトロセルロ-ス/ポリカプロラクトン及びポリビニルアルコ-ル/ポリビニルピロリドンブレンドについて,異種高分子間相互作用パラメ-タ-を評価すると共に,相溶ブレンド系におけるガラス転移温度の組成依存性について,理論と実験結果とを比較し考察した。
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