研究課題/領域番号 |
02650652
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子物性・高分子材料
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
落合 洋 広島大学, 理学部, 助教授 (50033840)
|
研究分担者 |
上田 一義 広島大学, 理学部, 助手 (40223458)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 高分子電解質 / 分子内架橋 / 対イオン間会合体 / 錯形成 / ポリビニルアルコ-ル / ホウ酸イオン / 疎水性対イオン / 静電相互作用 / 錯形乱 / 光散成 / 光散乱 |
研究概要 |
溶液内で起こる高分子ー低分子間相互作用について、"分子内架橋の導入と高分子電解質化及び対イオン間相互作用"の観点から行った本研究の概要を記す。 錯形成能をもつホウ砂(Na_2B_4O_7)が共存するポリビニルアルコ-ル(PVA)希薄水溶液で見られる高分子電解質的な溶液挙動、粘度の異常増減、錯生成定数のホウ砂濃度依存性について、PVAのOH基とホウ酸イオン[B(OH)_4^ー]間でPVA鎖上に電荷と架橋を同時に導入する2種類の錯形成(Monoーdiol及びDiーdiol型)が存在すること、両錯生成定数は系のイオン強度に強く依存すること、錯形成に伴うPVAの分子量増加は殆どなく錯形成はPVA分子内で起こることなどが判明した。これらのことから、粘度の異常増減はPVA鎖上の電荷反発による鎖の膨張と分子内架橋による鎖の収縮との競合であり、系のイオン強度に支配されていること、更に、PVA鎖上の電荷とホウ酸イオン間の電荷反発が錯生成反応を抑制していることなど、この系が特異な高分子電解質系であることが明らかになった。 また、高分子電解質の溶存状態について、本来自己会合体を形成しない小さな疎水性イオン(アルキルベンゼンスルホン酸イオン)でも、高分子電解質(ポリアリルアンモニウム カチオン)の対イオンとして共存するときには、高分子イオンの周辺で疎水性相互作用による対イオン間会合体を形成して、対イオン交換や沈澱生成を伴う溶液性状の大きな変化をもたらすことが明らかになった。。 これらの成果は、高分子電解質の特異な溶液挙動として学会でも高く評価されており、高分子電解質の溶存状態の解明の一助となることを確信している。
|