| 研究概要 |
1.グリシジル化架橋ポリスチレンとモノアザー18ークラウンー6やモノアザー15ークラウンー5の反応により,クラウン環の近傍に水酸基が存在する形でクラウン構造を固定化できた.この固定化クラウンの存在下三相系で2ーブロモエチルベンゼンと水酸化カリウムからスチレンを得る反応を行なった.水酸基含有固定化クラウンの触媒活性はジオ-ル型を維持して固定化されたポリエチレングリコ-ル構造と同等であり,高活性発現がクラウン部位に捕捉されたカリウムカチオンを対イオンとするアルコキシドイオンの生成によることが示された.クラウン環とその近傍に存在する水酸基から生成したアルコキシドイオンが協同的に配位してカリウムカチオンを効果的に捕捉する機構が提案された.
2.ヒドロキシエトキシ基や(ヒドロキシエトキシ)エトキシ基含有架橋ポリスチレンの水酸基をトシル化し,モノアザクラウンエ-テルと反応させクラウン環近傍にオキシエチレン鎖を持つクラウン構造を固定化した.この固定化クラウンを相間移動触媒とするハロゲン交換反応を行ない,触媒構造と活性の関連を調べた.支持台とクラウン部位間に酸素ドナ-を持つ触媒は,従来の固定化クラウンに比べて高い活性を示した。特に単独ではカリウムイオンを捕捉しにくい15ークラウンー5構造を持つ触媒では,スペ-サ-中の酸素ドナ-の協同的な配位によりカリウムカチオンの捕捉能が増大し,その結果高い触媒活性を示した.
3.モノアザテトラエチレングリコ-ルとハロアルキルやトシルオキシアルキル基含有の線状および架橋ポりスチレンの反応により新しいタイプのジオ-ル構造を含むポリマ-固定化ポリエ-テルアミンを合成した。スペ-サ-中の酸素ドナ-を持つポリマ-は相間移動条件下での水酸化アルカリとの反応で擬似クリプタンド型のアルコキシドを生成し、2ーブロモエチルベンゼンの脱離反応に対して高い活性を示した。
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