研究概要 |
球状吸着剤の粒内拡散係数吸着量依存性を考慮した場合の吸・脱着過程を,浸透期間と初期条件に依存しない期間の二つの極限期間に分離し,それぞれの期間に対して理論的・数値解析的検討を加えることにより,拡散係数の吸着量依存性がいかなる関数形の場合でも成立しかつ拡散係数を含まない,吸・着速度対平均吸着量の一般的関係(この関係より得られる関数を特性関数と呼ぶ)を導出することを目的として,理論的・実験的検討を加えた結果以下の成果を得た。 1.回分吸・脱着過程に対する理論的検討 まず(1)吸着剤内物質移動基礎式を導出し,(2)吸着量依存性を示す粒内拡散係数を用いて吸・脱着過程を数値計算により求め,これを数値実験結果とした。一方(3)拡散係数が吸着量に依存しない系の吸・脱着過程を,浸透期間と初期条件に影響されない期間の分け,それぞれの期間に対して解析的手法を用いて各期間に対する特性関数を求めた。このとき境界条件は表面吸着量を一定とした。(4)(3)で得た特性関数を用いて(2)で行った数値実験結果を整理することで,拡散係数が吸着量依存性を有する場合にも適用可能な最終的特性関数の形を決定した。なお今後この特性関数を利用して,粒内拡散係数の吸着量依存性を決定する手法の確立を目指す。 2.回分吸着実験 ニトロベンゼンー活性炭系,安息香酸ー活性炭系に対して回分微分吸着実験を行ない,粒内拡散係数の吸着量依存性を求めた結果,吸着量の増加と共に拡散係数はほぼ指数関数的に増大した。今後は同系に対して粒内吸着量変化の大きさ範囲で積分吸着実験を行ない,1.で展開した理論の検証を行なう予定である。
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