研究概要 |
前年度では装置の主要部分を完成させ予備実験を行ったが、所期の実験精度を持つ測定装置の完成までには至らなかった。改良すべき主な問題点は定圧・定質量流量をいかにして保持するかという点であった。市販されている高圧装置要素部品を検討,試用した結果、カロリメ-タの前後に気体用の精密圧力調節器を設置し、その外側に圧力逃がし弁をそれぞれ設置することにした。精密圧力調節器を正確に作動させるには、調節器の設定二次圧力に比較してある程度高圧のほぼ一定値の一次圧力を供給することが必要であることが判った。そこで本測定装置では測定に必要な質量流量よりも大きな流量が得られるように定流量高圧ポンプを作動させ、圧力逃がし弁で過剰の圧力を放出させて希望の一次圧力を得られるようにした。また出口側の精密圧力調節器より一定の質量流量で試料を放出させるには、蒸気圧の低い試料の場合を除いて、ある程度の二次圧力を圧力調周器に加えることが必要であることが判ったので、逃がし弁で二次圧力に適当な値を設定することにより正確な質量流量を得ることが可能となった。 作製した測定装置の健全性を確認するために、文献値の存在するHCFC123の定圧比熱容量を温度310K 320K,圧力1.0MPaで測定した。測定した2点で本実測値と文献値は1.0%以内で一致し、装置の健全性が確認された。ついで、HCFC141bについての測定を温度303.2K,323.2K,圧力0.6MPa〜1.0MPaの範囲で行った。HCFC141bの高圧下における定圧比熱容量に関しては文献値は存在しない。HCFC141bの定圧比熱容量は他の冷媒と同様に圧力の上昇に伴いゆるやかに減少した。また温度係数は本測定範囲では正である。HCFC123とHCFC141bはCFC11の代替フロン物質とされているが、両者の定圧比熱容量の値を比較すると本測定範囲内ではほぼ同じ値を示している。
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