研究概要 |
粒径が0.1μm以下の超微粒子のガス中に浮遊した状態での粒径と粒子個数濃度の測定において最も重要な役割を果たしている,擬縮法による粒子検出器(凝縮核計数器)の開発と性能改善のための基礎研究およびその有用性を実証するための応用研究を行い次の成果を得た. 1.基礎研究:超清浄空間の粒子検出のための大流量連続混合型凝縮核計数器(以下ではCNCと略す)を作製し,その性能を左右する過飽和雰囲気の形成と粒子計数効率について,いくつかの影響因子,すなわち飽和蒸気とエアロゾルの温度,それらの混合比,凝縮蒸気の種類などを総合的に検討した.その結果,良好な粒子計数効率の得られる条件は,古典的核生成理論(BeckerーDohringーAeldvichの理論)で均一相核生成が起こる(核となる粒子がなくて蒸気相から直接粒子が生成する)臨界過飽和度にできるだけ近い過飽和雰囲気を計数器内で形成させることが重要であることが理論と実験から明かとなった.最終的に開発されたCNCの性能は,流量が14l/min,粒子計数効率が10nm以上で100%,5nmで約60%と非常に良好で,また従来の1/50の低濃度粒子への適用を可能にした. 2.実証研究:上記のCNCを用いた新しい積算型静電粒径測定法を開発し,これによって大気や室内環境中に浮遊する0.005〜0.1μm程度の粒子の粒度分布測定が簡便に行えることを実証した.計数器の開発過程のプロトタイプのCNCを用いて,超高性能メンブレンガスフイルタ-(効率99.9999999%)の性能評価手法を確立した.そのほか,ウェ-ハなどの超清浄表面への超微粒子の沈着速度の評価法,微分型静電粒径測定法,水中の細菌の検出手法,微量の液中の溶解性不純物量を定量化する手法,などにCNCが応用できることを実証した.
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