1.流動層常温モデル実験およびグリッドゾ-ンモデルの開発 内径50mmの透明アクリル樹脂製流動層を用い、広い操作条件のもとで常温実験を行なった。光ファイバ-センサ-により層内局所粒子速度、局所粒子ホ-ルドアップ、ジェット径、ジェット高さを測定した。また、トレサ-ガスを送入、サンプリングすることにより層内局所ガス濃度を測定し、ジェットーアニュラス間ガス混合に関する基礎デ-タを得た。 新たにグリッド部をジェットトアニュラス部に分けて考える、流動層グリッドゾ-ンモデルを開発し、局所ガス濃度および粒子速度の推算を行なった。計算結果と前項の常温実験の結果を比較したところ、平板型分散板を用いた場合、推算値と実験結果はほぼ一致したが、コ-ン型ガス送入口に関しては推算値とは、大きく異なる傾向を示した。この場合、より複雑なガス流れが存在することが確認された。 2.高温モデルへの適用 モノシランからの多結晶シリコン製造プロセスのシミュレ-ションとして、前項で開発したモデルに申請者らが既に測定した微粉生成反応速度および析出反応速度式を組み込み、グリッド部における、全反応量、微粉生成率を推算した。また、クロッギングの生じ易さをも予測した。これらの結果を従来の流動層シリコン析出実験結果と比較したところ良好に一致した。また、微粉は主に気泡内で生成することがわかった。そして、ガス送入口形状としては、ノズル型ガス送入口の方が多孔型分散板よりも優れていることもわかった。流動層水蒸気ガス化への適用としては、本シミュレ-ションモデルに従来報告されている燃焼反応、ガス化反速度を組み込み、局所生成ガス濃度分布および全生成ガス組成の推算を行なった。計算結果と実験結果を比較したところ、計算結果は反応率を大幅に低く見積った。よって反応速度式、ガスの混合拡散速度についての検討が必要であることがわかった。
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