本研究は、インゲンマメの調位運動における上下傾斜(Diaheliotrpism)と横向き傾斜(Paraheliotropism)の生態的あるいは生理的メカニズムをより明確にするため、水耕で育成した品種、姫手亡を用い、注射器を改良した自作のガラス電極によって葉枕活動電位の測定に関する基礎的知見を得た。活動電位はストレ-ジスコ-プで電位変動を監視しながら、ペンレコ-ダによって記録した。以下がその結果である。 1.光照射に起因する葉枕活動電位の確認 ガラス電極を葉枕下部、主茎側部および基準電極に接触させ電位変動を測定した結果、主茎側部および基準電極では、光照射後きわめて小さい変化(3〜25mmV)を示したのに対して、葉枕下部においてはきわめて大きな変化(100mmV以上)が認められ、さらに変動パタ-ンも他の2部位とは著しく異なった。従って、この葉枕の電位変動は、光照射による葉枕の反応であることが明かとなった。 2.葉面傾斜におよぼす電極電解液濃度の影響 葉面傾斜、すなわち葉枕の屈曲は、電極液(NaCl)の影響を受けることが予想された。そこで溶液の濃度と葉面傾斜との関係を調べた結果、高濃度(10mmM以上)ほどその傾斜が抑制された。しかし、低濃度ではハムやノイズが混入し測定に著しい障害を及ぼすため、電極電解液の濃度は、1mmM程度が適当と考えた。 3.葉枕の部位による電位変動 葉枕の上部より光照射を行ない、葉枕の上部、側部および下部の電位変動を比較した。その結果、葉面の傾斜、すなわち葉枕の伸張および収縮と関連付けられる電位の変動が認められた。
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