研究概要 |
スイレンと並び称される代表的に水生の観賞植物である花バス(Nelumbo nucifera Gaertn.,N.lutea Pers.)は,花が大型,花容端正で観賞価値が高いが,大きな栽培容器の必要性,開花時期・時間の制約性の上から普及していないのが現状であり,その克服に係わる知見を得るための実験を行い,つぎのような成果を得た。 1.ハスをL(2001),M(951),S(601),B(101)の容器で育成し,大型種では容器が小型化することにより生育が阻害,着花数・花径長が小とくなること,普通型種ではほぼM,Sを境に花茎長・花径長が小さくなること,小型種ではほぼS,Bを境に生育阻害でみられ,とくに着花数の減少が顕著になることが明らかになった。 2.春,種レンコンを4℃で保冷し,通常より遅らせ植え付けた栽培では,最初の開花がみられたのは植付後44〜89日(通常の場合は90日前後)で,植付を遅らせるほどその期間が短縮されること,植付時期を遅らせるほど花期が短く,着花数の減少する傾向がみられること,植付時期を7月中旬頃まで遅らせた場合,9月下旬頃に開花する品種もあることなどがわかった。 3.秋,温室内に種レンコンを植え付け,補助照明を行い育成した栽培では,通常の場合より,最初の花芽の出現では20〜40日,最初の開花では25〜40日遅れること,花期は長くなるが着花数には大きな変化がなしことがわかり,上記2と温室での育成等との組み合わせにより,ハスの通年開花が可能であることが判明した。 4.自然光の遮断,人工照明による照射等の実験を行い,自然光を遮断することにより花弁の開いた状態を長く持続させることができること,自然光を遮断し人工照明による照射を行うことによって所要の時間に開花させることのできる可能性のあることがわかった。
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