研究概要 |
シナノグルミの染色体についてCーband法(BSG)法,Qーband法,Nーband法(AgーI法)による分染を試み以下に示す結果をえた。 (1)Cーband法により美鶴(No.552)の二次生長芽を用いた場合,50℃ー5%Ba(OH)_2の処理時間を25ー30分,2%Giemsa染色2分によりバンドの発生がみられたが,染色体の輪郭が不明瞭となり,個々の特定はできなかった。(2)Qーband法で4X隣花受粉実生(85sー5)の根端組織を用いた場合,Qーinacrine bydrochl oride50μg/ml10分処理に加えて、33258Hoechst50μg/mlを10分間処理することによってバンドの発生が認められた。 (3)Nーband法(AgーI法)が可能であった。また調査したそれぞれの系統において,比較的大形のiまたは亜鈴形の染色体が観察され,シナノグルミ染色体の分類・同定の有力な指標になりうる可能性が示唆された。(4)美鶴(No.455)生長点組織の核板について、腕長の信頼限界を算出して核型ともとめた結果,2n=32=20A+12Bとなり,Aの腕長の範囲は4.169≧μ≧3.49^<*1>〜2.117≧μ≧1.783^*μmで,Bは2.071≧μ≧1.708^*〜1.160≧μ≧0.980μm(^*95%)であった。 colchicine法により育成した4x美鶴(No.451)樹と母本とする隣花受粉実生3樹のうち,85sー1樹と85sー2樹は2h=64の染色体数と保持する4倍体であった。85sー5樹は2h=48の3倍体であった。
|