研究概要 |
1.トマトは夜間に生長著しく,昼間の4倍の増体重を示しながら生長することが明らかとなった。しかし、根の伸長速度は2mm/hで昼夜間差は認められなかった。 2.根から地上部への養分輸送濃度の日変化を知るため、株を1時間毎に24時間にわたって茎を切断し木部いっ泌液分析を行った。いつ液量は正午前に最高となり、リン濃度は午後10時頃にカリ濃度は午前10時頃に最高となった。硝酸態窒素、カルシウム、マグネシウムは夜間に僅かに濃度が高まる傾向にあった。自然光の30%に遮光すると、その日の午後6時および午前0時にリンを除いて、どの成分濃度も対照区より著しく低くなった。リン濃度は遮光区の方がはるかに高くなった。また,齢の進んだ株ほど成分濃度は低くなったが、カリ濃度だけは齢が進んでもほとんど変化しかった。 3.夜間吸収窒素( ^<15>N)は、朝方にはその約50%が葉に、約10%が茎に、約40%が根に存在していた。昼間吸収窒素( ^<15>N)は、夕方にはその約70%が葉に、約10%が茎に、約20%が根に存在していた。夜間吸収窒素の葉ヘの流入量は昼間吸収窒素の1/8〜1/12であり、果実への殆ど流入しなかった。しかし、ガクと果柄には流入していた。翌日の昼間に夜間吸収窒素は果実に流入した。 4.人工光下(18Kルックス)でのトマトの生育は4時間暗期ー20時間明期で最も良く、連続照明下では20日目頃より葉のクロロシスが激しくなり下位節ではネクロシスとなる葉も出現した。葉のクロロフィル含有率は連続照明で著しく低く、1時間暗期挿入の約60%となった。1時間の暗期挿入で暗期8時間のそれと同程度にまで回復した。カルシウムは連続照明と1時間暗期で著しく低下し、4〜8時間暗期の約70%となった。また、鉄は連続照明で1〜4時間暗期と差が無かったが、亜鉛は低く1〜8時間暗期の約60%となった。葉分析の結果、連続照明で低下する成分はカルシウムとマグネシウムであることが分かった。
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