研究概要 |
1.灰色かび病菌のベノミル薬剤耐性機構に関する研究 パルスフィールドゲル電気泳動によって,供試したBotrytis cinereaの5菌株(ベノミル耐性菌株:IHES-4,CAES-7,PHDF-6,PHGF-1;感性菌株:IPCR-1)では,5本のゲノムバンドが分離されたが,耐性菌株・IHES-3では,更に分子量の小さなバンドが1本検出され,6本のバンドに分離された。ゲノムサイズは,合計約10Mbであった。6種の制限酵素を用いたアガロースゲル電気泳動では,供試菌株間にバンドパターンの違いは認められなかった。しかし,制限酵素未処理のDNAからミトコンドリアのプラスミド様DNA(約2.15kb)が検出され,このプラスミド様DNAは,耐性菌において増幅している可能性が示唆された。pUC-18-DNA,yeast-RNAおよびE.coli-RNAをフォトビオチンで標識したプローブを用いて,サザンハイブリダイゼーションによるRFLP解析を試みたが,供試菌株間で異なるバンドは検出されなかった。 2.灰色かび病菌のジカルボキシイミド系薬剤耐性誘発機構に関する研究 B.cinereaの薬剤耐性菌株(CAES-2,-4,-7)の培養ろ液で,Saccharomyces cereevisiae(IF00205)DS-2株を処理した結果,ビンクロゾリンに対する耐性誘発が認められた。特にCAES-2の培養ろ液で顕著であった。しかし,ベノミルに対する耐性誘発は見られなかった。培養ろ液処理による耐性誘発酵母(DR-C2,DR-C4)について,PFGE法およびRFLP法を用いて遺伝子解析を試みたが,薬剤感性菌株との間に,染色体およびゲノムDNA塩基配列に差異は認められなかった。
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