研究概要 |
1.カ-ネ-ションにおける黄緑色型ナミハダニの発生状況を熊本県と鳥取県の生産団地に赴いて実態調査を行った。熊本県では6生産団地のうち2団地において,鳥取県では5生産団地のうち2団地で赤色型ナミハダニとともに黄緑色型ナミハダニの発生していることが認められた。黄緑色型ナミハダニの発生由来については考察するだけの資料は得られなかったが,鳥取県では周囲のハウスに裁哉されているバラやカスミソウからの移動や種苗による持ち込みの可能性が示唆された。 2.カ-ネ-ションのスタンダ-ドタイプとスプレ-タイプの両方を含む10品種について赤色型(2個体群)と黄緑色型(5個体群)ナミハダニの発育状況を調査した。その結果,特定の品種で特に発育が良いとか悪いとかという傾向は認められなかった。 3.ナミハダニの黄緑色型5個体群,赤色型2個体群についてカ-ネ-ション上における発育率を調査したところ,黄緑色型は赤色型に比べ発育率が明らかに低いことが分かった。しかし,カ-ネ-ション以外から採集した黄緑色型個体群でも卵を接種してやればカ-ネ-ション上でも発育することが明らかとなった。今後はカ-ネ-ション上での成虫之定着率と産卵数についても検討していく必要がある。 4.黄緑色型ナミハダニ5個体群をカ-ネ-ション上で飼育し,飼育前の個体群と飼育後生き残った個体群をインゲンマメで増殖させたものについて,18℃,9時間明期15時間暗期の条件下で休眠率を調査したところ,これらの間にほとんど変化がみられなかった。このことから,カ-ネ-ション寄生性と休眠性の間にはそれほど強い関係はないものと考えられる。
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