研究概要 |
本研究は水と物質の移動に対する土壌構造の影響を明らかにする目的で行った。 青山褐色森林土(BFS),床丹暗赤色土(DRS),士別疑似グライ土(PSG),富川恵庭ロ-ム(ADO),美々樽前d(VRS)のB層から直径15.5cm,高さ25cmと15cmの不攪乱カラムを採取した。25cmカラムでは深さ5cm毎にテンシオメ-タを挿入し,降雨強度0.8cm/hで10時間灌水後排水し,土壌水分吸引圧の時間変化を得た。15cmカラムは水飽和後,流速1cm/hで0.01NーMB溶液(C_<16>H_<13>N_3SCI)を約41浸透させ流出液を採取し,C1^ーとMBの流出曲線を得た。浸透終了後重力排水し,それを粗孔隙量とした。カラムは厚さ5から20mmごとに9層に切り取り,その水平断面のビデオ画像を画像解析し,MB染色部の個数,面積,周長を得,2つのフラクタル次元を求めた。1つは正方形分割によるフラクタル次元(Ds)で,N=a・r^<ーDs>から得られる。rは正方形の大きさ,Nは染色部を含む正方形の個数。もう1つは周長のフラクタル次元(Dpe)で,染色部の面積(A)と周長(Pe)の関係,A=a・Pe^<2/Dpe>から得られる。 ADOを除き他はカラムが水飽和する前に下端流出が始まり,粗孔隙のバイパス効果が明瞭であった。粗孔隙量が0.23cm^3/cm^3と他の3ー6倍多かったVRSを除き,各土壌の染色部割合(PSA)は深さと共に減少した。DsはDRS,PSGで深さによる低下が著しく,全試料でDs=0.607・log(PSA)+0.66,R=0.961の関係があった。一方,Dpeは各土壌とも深さに関係なく一定の値を示し,土壌固有の指標となりうる。満流に近い染色を示すADOでは1.3と小さく,粗大粒団と亀裂・根管が主体のDRS,PSGでは1.45,小粒団と細割れ目状孔隙のBFSでは1.58,大小の軽石間に編目状染色を示すVRSでは1.63と大きい。塩素の流出曲線の分散性はDRS,PSGで大きく,その指標のBrenner数(B)はB=0.025・UmDs+4.660・Dpeー7.207,R=0.999で回帰された。
|