研究概要 |
供試鉱質酸性土壌は4群に分けられた:(A)火山性土壌(鳥海・月山);アロフェン,ギブサイト,Fe・Al領酸化物が多く,pHoが5と高く,交換性Alが少く,CECはPH5以上で急激に増大し,AECは酸性で大きく,中性でほゞ消失。(B)1:1型土壌(松根・金峯);メタハロイサイトに富み,pHoが4.3で交換性Alも中間的で,CEC・AECの傾向は(A)に類似だが,CEC上昇程度は小さい。(C)2:1型土壌(白狐・出羽);スメクタイトを主体とし,pHoが3.8と低く交換性Alが極めて多く,AECはほとんどなく,CECは一定で30meと最も高い。(D)酸性硫酸塩土壌(沼ノ倉・別当);スメクタイトを主体とするが高濃度のCa・Mg・K・SO_4を含み,pHoが4,(C)と類似のCEC・AECだがCECは20〜25meであった。 有効態Pは松根以外の全土壌で,炭カル施用による反応矯正で改善されない事が判明した。石膏施用による作物性育向上のためには,アロフェン,ギブサイト,結晶性・非晶質Fe・Al酸化物含量が高く,等電点も高く,pH5以下の酸性域で大きなAECを有することが必須である。この場合バ-ミキュライト・カオリナイト・イライトの混在があっても,石膏中のSO^<2ー4>_4によって,PH(H_2O)が上昇し,水溶性・交換性Alが低下し,水溶性・交換性Caが増える。これと対照的に特に(C)群土壌では石膏多量施用によってpH(H_2O)が低下し,交換性Alは変化しないが水溶性Alが急増し,水溶性・交換性Ca上昇にも拘らず,作物にAl過剰害やそれに誘導されたK欠乏が発現し生育が低下すると結論づけられる。 各種酸性土壌のphytotoxic Al量の推定法を比較検討した結果,0.2M NH_4Cl抽出>M KCl抽出,テンサイ地上部Al含有率法>0.01M CaCl_2抽出,水抽出>M CH_3COONa抽出の順だが,有機質土壌も含めるとバイオアッセイ法が最適であった。新しいAl分析法が開発されれば将来的には水抽出法とCAB計算法が有力であると推察された。
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