研究概要 |
1.ミツバチ成虫から三種のαーグルコシダ-ゼ(HbGーI,HbGーII,HbGーIII)を精製した。同時に、ハチ蜜からもαーグルコシダ-ゼ(HbGーIII)を精製した。 2.生体内における分布を免疫学的方法により検討した結果、HbGーIは中腸に、HbGーIIは血リンパと中腸に、HbGーIIIは下咽頭腺に局在していることを確認した。ハチ蜜から精製したHbGーIIIは体内から精製したHbGーIIIと免疫学的および酵素的にも同一であることが認められた。 3.各αーグルコシダ-ゼについて様々な手法で解析を行ったところ、HbGーIおよびHbGーIIがアロステリックな挙動を示すことが認められた。両者は“履歴酵素"(秒、分単位の緩慢な立体構造変化を触媒時に生ずる酵素)である確認を得た。HbGーIIIはミカエリス-メンテン型の酵素であった。 4.HbGーIIおよびHbGーIIIのサブサイト親和力を算出し、既に報告したHbGーIを含む三者間で比較した。いずれも第4サブサイト以降の親和力が負の値を示した。この傾向はHbGーIIIが最も顕著であった。 5.諸性質、基質特異性および免疫化学的性質からハチミツαーグルコシダ-ゼはHbGーIIIと同一の酵素であることが判明した。HbGーIIIは下咽頭腺に存在することからミツバチが採集する花蜜中に分泌され、その主成分であるショ糖の分解を行うことにより、ハツミツ生成に直接関与する酵素であることが示唆された。両酵素はショ糖に対し、高い分解活性を有している。
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