研究概要 |
Penicillium purpurogenumのαーガラクトシダ-ゼのクロ-ニングの為に、精製酵素のN末端配列を決定した。それを基にオリゴヌクレオチドを合成したが,プロ-ブとして適した配列が見出せず、クロ-ニングに因難を伴う事が予想された。一方,糸状菌Mortierella vinaceaのαーガラクトシダ-ゼのN末端配列を決定したところ,QMGWNTなるオリゴヌクレオチドプロ-ブに適した配列が見出されたので,まずM.vinaceaのαーガラクトシダ-ゼのcDNAクロ-ニングを行い,次いでそのcDNAをプロ-ブとして,P.purpurogenum αーガラクトシダ-ゼとクロ-ニングを行うこととした。まず,M.vinaceaの培養菌体から全RNAを調製し,次いでオリゴ(dT)ーセルロ-スカラムによりmRNA画分を得た。cDNA合成後,λgt10に挿入しインビトロパッケ-ジングし,オリゴヌクレオチドプロ-ブを用してプラ-クハイブリダイゼ-ションを行った。約3万個のプラ-クの中から1個のポジティブクロ-ンが得られた。このcDNAの大きさ(1.2Kbp)は,糖鎖を除去した酵素の分子量4〜4.5万をコ-ドするのに十分な大きさであったので,その塩基配列の決定を試みた。現在までに約50%(600bp)の塩基配列が明らかになっている。その結果、本cDNAはαーガラクトシダ-ゼのN末端配列を含み,5'側に転写開始点と思われるMetに続く疎水性度の高いシグナル配列様の配列が存在した。塩基配列から推定される一次構造をヒト及び酵母のαーガラクトシダ-ゼと比較したところ,N端部分にホモロジ-の高い領域(TPーMGWーW,GーKDーGYY,DDLW)がみられ,これらの領域が活性に関っている事が示唆された。また,3'領域には,AATAAAのポリA付加シグナル及びポリA鎖が存在した。本cDNAがM.vinaceaのαーガラクトシダ-ゼのcDNAである事が明らかとなったので,現在塩基配列の解明及び,P.purpurogenum αーガラクトシダ-ゼcDNAライブラリ-の本cDNAを用いたスクリ-ニングを行っている。
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